(東京高決・平成2年10月30日家月43巻5号24頁)
- 相続判決3
「共同相続人の具体的相続分を確定するために,民法903条1項は,『共同相続人中に,被相続人から,遺贈を受け,又は婚姻,養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし,前3条の規定によって算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除し,その残額を以てその者の相続分とする』旨を規定しているが,右の『みなし相続財産』とは,被相続人の死亡時の相続財産に贈与の価額を加えたものであるから,現実に存在する相続財産ではなく,具体的相続分を確定するために行う観念的操作の所産,換言すれば,具体的相続分確定のための一つの要件にすぎないのである。遺産分割の手続が家庭裁判所の専権事項であることと併せ考えると,ある財産が右の「みなし相続財産」に該当するか否かの判断は,遺産分割の審判において家庭裁判所が観念的に操作する過程における一つの要素ないし要件の有無を判断するものであって,具体的相続分確定のための一つの前提としての意義を有するにすぎず、『みなし相続財産」を私人間の独立した権利義務の客体として捉えることはできないものといわなければならない。共同相続人の具体的相続分を確定するためには,各相続人の特別受益及び寄与分の双方の確定が必要であるが,寄与分は,当事者の協議ができないときは家庭裁判所が審判において定めるものとされ,しかもそれは,遺産分割と同時に行われるものとされている(民法904条の2,家事審判法9条1項乙類9の2,家事審判規則103条の3)。このような法の規定の趣旨に照らせば、寄与分と同様に法定または指定相続分を修正する要素として位置付けられている特別受益の有無及び価額についても法は,家庭裁判所が遺産分割の中で審理判断すべきものであり,弁論主義による民事訴訟においてこれを確定することは予定していないものというべきである。控訴人は、寄与分に関する規定が昭和55年に新設されたものであるから,本件には寄与分の規定を根拠とした判断は許されない旨主張するが,この法改正の根底にある思想は,具体的相続分の確定に関する事柄については家庭裁判所が遺産分割の審判においてもしくは審判と同時に定めるものとする考え方であるから,右規定の新設以前からこのような思想はあったもので,右改正以前に開始した相続についても寄与分規定の趣旨を蝋酌して判断することは差し支えないものというべきである。のみならず,特別受益の有無及び価額を判断するにあたっては,単に贈与の事実に止まらず,婚姻,養子縁組及び生計の資本に関しての贈与であるか否かの判断を要するが,そのためには,被相続人の生前の資産,収入及び家庭状況並びに当時の社会状況等一切の事情を総合的に考慮しなければならないのであるから,みなし相続財産を確定するということは,本来的に非訟事件であり,したがって,訴訟事項ではなく審判事項であるといわなければならない。」
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生活保障と生命保険。家族に子供が加わって痛感したのは生命保険の大切さなのです。もしも私が急に事故などで死亡したのなら嫁さんや子供に何かしら、なんとか生活していける目途ぐらい残してやらないと明日からの生活費にも事欠くかもしれません。満足な預金などいまあるはずもないので無理して働いて貯金しているのですが。なんて思いながら暮らしています。生命保険だけは苦労して保険料を払い続けています。デジカメ撮影NAVIについて|カメラ
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